金銀レートから円ドルのレートへ
視聴率が厳しい大河ドラマ『花燃ゆ』
ほら、ここ2,3回の物語では
久坂玄瑞が長井雅樂(ながいうた)を敵視しているでしょ。
ちょっと急展開すぎて、
ついていけないって方も多いのではいでしょうか。
そこで今回のブログでは
この時代の思想の転換について書きますね。
ポイントは経済だったんです!?
吉田松陰が亡くなって、
その弟子・久坂玄瑞がいよいよ行動に移します。
玄瑞の夫は主人公・文(ふみ)。
彼らの主張する「攘夷」運動は長州藩内でも一部にすぎず
お殿さまが同意した藩論ではありません。
かなり極論でした。
それでも武力で外国を打ち払うという
攘夷思想は全国で広まりつつありました。
その主な原因が物価の高騰です。
金銀の交換比率に注目しましょう!
日本国内では金1に対して銀5。
ヨーロッパでは金1に対して銀は・・・なんと15。
まるで違います。
メキシコで銀山が開発され世界中に銀があふれていました。
それなのに日本では銀の価値が高いまま。
世界の情勢に連動していません。
諸外国は余った銀で
日本の物資を安く買い付けることができたんです。
現代の為替相場では
1ドル80円ぐらいだった相場が1ドル120円へ。
円安ドル高です。
輸出産業が多く
貿易を前提としてる経済では
円安の方が景気には好影響を与えています。
時代が遡って幕末の日本。
国を開いたばかりの日本では
当時の世界の金銀相場に連動してませんでした。
開国したからと言って
急に銀の価値を引き下げることもできません。
生糸も
お茶も
海産物も
油も
どんどん流出していきます。
国内でモノの値段を上げても
流出には歯止めがかかりません。
ますます国内は品不足になって
物価が4倍にまで高騰していきます。
普段の生活が厳しくなります。
庶民にとって
これが開国のせいだと思うのは道理です。
だから攘夷!ってことに。
勝てるかどうか。
大砲を持っているかどうか。
蒸気船を持っているかどうか。
そんなことは貧しい庶民には関係なかったんです。
下級階層で攘夷運動が広がったのはおよそ想像がつきます。
もともと貧しかったんですから。
そもそも武士でもなかった久坂玄瑞が
仇のように家老クラスの長井雅樂(ながいうた)を
狙った行動をとるのもそのあたりが理由です。
長井雅樂の示した
『航海遠略策』はとても常識的でした。
・ 積極的に条約を受け入れる
・ その間に軍備を充実させる
・ 海外に視察に出かける
・ 外国の長所を受け入れる。
外国と一戦交えるなんて、
勝ち目のないことは常識人には理解できないものだったんです。
経済の影響力をテコに
庶民がどんどん力を持っていきます。
玄瑞の行動を支持する裏付けはそういうことです。