砲術訓練に臨む寅次郎とその様子を囲む聴衆。
その中には妹・文の姿もあります。
大河ドラマ『花燃ゆ』。
第1話の放送が終わって視聴率も発表されました。
その数字はさておき、
今回のブログではその冒頭シーンを解説しますね。
このセリフの意図が理解できると
今後の大河ドラマがとっても面白くなりますから。
「こんなじゃいけん・・・」と、
言った寅次郎(のちの吉田松陰)のセリフです。
妹の文も寅次郎のつぶやいたコトバが気になります。
「いけん?」って。
砲術訓練にケチをつけた発言だといって見物人たちが騒ぎだして
警備に役人が詰問。不測の事態に発展します。
もちろん、文はケチをつけたわけではありません。
ただ、どうしてそう言ったのか。
ドラマを見ているだかではちょっとついていけなかった。
このあたりが大河ドラマの面白さでもあり、
小難しくしている要素でもあります。
そんなシーン。
実はこのセリフのベースはとても興味深いものがります。
解説しますね。
まもなく下田にやってくる黒船。
日本はとても海岸線が長い国なんです。←なんとなく理解できますよね。
面積はアメリカのわずか4%しかありません。
だからとても小さい。
それなのに海岸線の総延長距離が
アメリカの2万キロ弱に対して日本は3万キロ超に及びます。
ほら、地理の事業でリアス式海岸って習ったあれです。
アメリカと日本は
国土の面積が1:0.04なのに海岸線の延長距離が2:3。
日本は伸ばすととても長い国なんです!
さらに日本列島の真ん中には山脈が走っていて
平野が狭くて逃げる場所がない。
そんな地形。
それだけに日本は守るのが難しい地形なんです。だから
・・・こんなんじゃいけん。
いかがでしょうか。
こんな砲術訓練で迫ってくる敵の船を浜辺を
それぞれに守っても守り切れないこと。
それを寅次郎は承知していたんです。
幕末にそんなことを理解していた。
200年以上、鎖国状態の国に生まれ育ったのに。
そう思うだけでも驚きです。
これまでさえぎる存在だった海。
・ 出てはいけない。
・ 入れてもいけない。
・ 一度出たら戻れない。
海ってそんな存在でした。それが常識です。
それがつながる存在に変化します。
海によってつながる。海はつながっている。
『海防憶測』という海上防衛の本。
その本が禁書として扱われたのもその影響です。
ただ、そうなったときに
海の向こうから
どんな船がやってくるのか。
どんな武器で襲撃されるのか。
どの時、どこでどうやって防ぐのか。
まだ誰の頭の中にもその手立てはまだありません。
ただ難しい問題だということは理解していたんです。
だから焦っています。
それが寅次郎(のちの松陰)だということ。
そして同じような考え方をもったのが小田村伊之助です。
この二人を引き合わせたのが、文。
文は「出会わせる」役割を担っていくんでしょうね。