大河ドラマ『おんな城主直虎』
第9話 桶狭間に死す
今川義元が大軍を率いて尾張に攻め込んだ。
次郎の父・直盛も従って本陣の先方として出陣。
負けるはずのない合戦。
今川方の属する井伊家の人も
誰ひとりとして疑いませんでした。
それなのに・・・
それなのに・・・
後世に生きるボク達は
その結末を知っているけれど・・・
結果はあっけなく惨敗。
勝者の視点で描かれることの多い歴史。
これまでの大河ドラマでも同じでした。
ところが今回の大河ドラマでは
主人公は今川方なんです。
実際に、次郎の父・直盛も戦場で散りました。
首ひとつでの帰還は目を背けたくなるぐらい。
そんな敗北の瞬間をどう描くのか。
そこに興味が募ります。
大将・今川義元役は春風亭昇太さん。
最期は…
斬られるのか。
刺されるのか。
撃たれるのか。
って思って観てみます。
実際の本編ではその最期は描かずに
戦場で扇が踏みつけられるシーンが描かれました。
京の公家のようにエレガントな義元。
ほとんど話さない。
その権威の象徴であった扇。
扇ひとつですべてを差配するほど。
そんな太守の風格が地に堕ちた瞬間でした。
敗北者の視点で描くとそうかもしれない。
この桶狭間での戦い。
歴史の転換期として有名です。
もう少し敗北者になった
今川義元の視点でこの戦を解説しますね。
そもそもこの戦は軍事パレード!
沿道の民・百姓に
自分たちを見せるための行進です。
勝つか負けるかではなく
新しい支配者としてのお披露目。
圧倒的に勝つことが前提。
戦う前から勝敗がついているほど。
その証拠に馬ではなく
輿(こし)に乗って合戦に向かっています。
物語でも輿で出陣する義元。
特に朱塗りの輿は
権威の主張を表す乗り物。
太守さま専用の特別機です!
臨済宗の門弟として学び
公家を招いたハイセンス暮らし
将軍家に連なる家格
当時。
「街道一の弓取り」
そう歌われた圧倒的な太守です。
駿河・遠江・三河を支配して
次に目指すのは西隣の尾張の国。
戦うよりも圧倒的な
政治力・文化力・軍事力の違いを
見せつけるだけでことは足りる。
家督(経営者のポジション)も
息子・氏真に譲って承継も万全の態勢。
あとはゆ~るりと進むだけ。
そんな感じ(・・・だと思う)
もちろん順調に進軍しすます。
そこで嵐に遭遇したんです。
伊勢湾の上空から夕立が降ってきます。
義元の軍勢は雷雨を避けるために窪地に移動。
ますます激しく降る雨風。
護衛の兵士もや
番兵も物陰に身を寄せます。
そして、ほどなく大雨があがります。
その時です。
悪天候の中でこっそりと
義元の陣に近づいていたんです。
やって来たのは織田信長。
まさかの奇襲か
それとも正面攻撃なのか。
とにかく誰も攻めてくるなんて
思ってもいなかったところに敵が来た!
とっさのことだった。
そして扇が踏みつけられて・・・
これが敗者の視点です。
この一戦を境にして
これまで無名だった武将が登場します。
合戦方法や城の役割が変わり
次々に常識が覆っていきます。
楽しみですね。
そして主人公・次郎がもうすぐ城主になります。