今週の大河ドラマ『花燃ゆ』は第15話・塾を守れ
幕府による弾圧が始まり
文の兄・寅次郎は野山獄へ投獄されます。
松下村塾も閉鎖になります。
これが安政6(1859)年正月のことです。
ペリーが浦賀へやってきたのが嘉永6(1853)年。
この物語が始まって今回で15話ですから
展開としてかなりゆっくりだということがわかります。
ボクたちはこの物語が幕末の物語であることを知っています。
あらかじめ知ったうえで見ています。
そうですよね。
今後の展開としては・・・
京で捕まった梅田雲浜に続き
投獄された寅次郎が江戸へ送られて処刑されます。
老中暗殺を計画した罪によるもの。
そんな安政の大獄を指導した大老・井伊直弼も暗殺されます。
桜田門外の変です。
万延元年(1860)年3月のことです。
世間を揺るがす大事件ですが
大老や老中を斬ることが目的で幕府への敵対心はありません。
(このあたりが難しい)つまり、この時点において・・・
日本国内に「討幕」という考え方は存在していません!
幕末という認識は
現代のボクたちが後世から遡って持った認識。
だから物語では今、江戸時代まっただ中なんです。
では寅次郎は何を叫んでいたんでしょうか。
彼のいう志とは何でしょうか。
それは・・・幕府を正すこと。
外国とは開国するのではなく
武力で打ち払うという「攘夷」思想までは言っていない。
勅許を得ないままに通商条約を結んだことに対する不満です。
さらにここから勅許が重要な意味を持ちます。
「尊王」思想といって大きくなります。
これは天皇を尊ぶ思想です。
この2つの考え方が合わさって「尊攘攘夷」となっていきます。
今後の長州藩は「公武合体派」が主導権を握り、
クーデターによって「尊王攘夷論」へと移っていきます。
主張がコロコロと変わります。
藩やその代表者たちの主張が揺れまくる時代。
出会いと個々の利害関係で主張が一変します。
それこそが幕末維新の流れです。
個人の主張には一貫性があっても
個人の所属する藩(会社)には一貫性はありません。
実権を掌握した人の意見で藩の体制が決まるからです。
お殿さまは決まったことに対して承認するだけ。
現代のボクたちには理解できない封建社会の風習です。
だから結果に対しても責任を取りません。
寅次郎の志が塾生たちよって
実を結ぶのはそのころでしょうか。
きっともう少し先のお話です。
それまでにどんな物語が展開されるのか。
松下村塾の塾生たちがそれぞれの葛藤の中で志を立てるのでしょうか。
文がそこにどんなかかわり方をするのか。
江戸時代が終わるとされる
大政奉還は慶応3(1867)年10月。
その後、戊辰戦争へと続きます。
それぞれの主張はまだまだ変わっていきますよ。