『みなさん、ごはんですよ~』
そう言って塾のみんなにおにぎりを配る文(ふみ)。
兄・吉田松陰が亡くなるまでの間、
杉家のはなれで行われていた松下村塾の講義。
大河ドラマ『花燃ゆ』では
主人公・文はいつも塾生たちにおにぎりを配っています。
実はこのおにぎり。とても重要な意味があるんです。
歴代の大河ドラマには重要なアイテムが登場しています。
『武田信玄』、『毛利元就』、『篤姫』や『天地人』では
囲碁の碁盤でした。
碁盤を挟んでじっくりと会話をする。
碁を打ちながら状況を打開するアイディアが浮かぶ。
武将の戦術や心理を描く演出としてはとても効果的でした。
今回の『花燃ゆ』では主人公・文(ふみ)は女性。
彼女を象徴する小道具として使われているのがおにぎりってこと。
どこの家庭にもいそうな女性な女性。
つなぐ役割。引き合わせる役割を担う女性。
自我よりも人の為に動く健気な女性。
だから・・・おにぎりだったんです。
塾生のみんが美味しそうに食べるシーン。
深夜だったり講義の後におにぎりを差し入れしています。
今回のブログでは松下村塾の開催中に
「文がにぎったおにぎりはいくつだったのか?」
ということを
勝手に推測してみたいと思います。
まずはアイキャッチ画像にもあるおにぎり。
(おにぎりを差し入れするシーン)
お盆の上には横5個、縦に3個。つまり15個あります。
さらに、文のあとからは母・滝も
同じようにお盆でおにぎりを配っています。
つまり15個×2=30個
一回に文がにぎったおにぎりは30個です。
この数字をもとに進めていきましょう。
松下村塾で兄・吉田松陰が指導した期間は
安政3年(1856年)8月~安政5年(1858年)12月まで。
だから2年4ヶ月です。
この間に松陰の指導を受けた門下生には
久坂玄随、高杉晋作、吉田稔麿、入江九一、
伊藤博文、山形有朋、品川弥二郎、前原一誠・・・
松陰の志にひかれて塾に参加した人もいると思いますが
文のおにぎりが食べたいという下心のある塾生もいたと思います。
ボクは志よりの下心の方が好きです。
「左のポケットには大きな志を
右のポケットには大きな下心をもとう」
そんな感じ。そのほうが自然です。
だって、「下心」をもった士(サムライ)と書いて「志」になるでしょ。
塾生名簿は残っていませんが
約50名ほどいたと思われます。
彼らのうち平均して30人、来塾したとします。
2年4か月の期間。
1週間に5日間、開講したとすると600日。
50人ほどの塾生のうち
日々通ってきたの人数を30人とします。
1日に1回の提供で計算すると
30人×600日×1回=18,000個
なんと文はおにぎりを
18,000個もにぎったことになります!?
そんな短期間に普通の女性が
これだけの数のおにぎりは作るでしょうか。
そう思うともう感動してきます。
大河ドラマは借景ドラマです。
主人公に自分を重ねてみると
何かを感じとることができます。
毎日、毎日、まわりの人のためにできることをする。
表に立って活躍するだけが役割じゃない。
その人にしかできないことが見つかるって素敵です。
かかわる人をどんどん繋いでいく人っています。
文のにぎった18,000個のおにぎりが
明治維新の原動力だったのかもしれませんね。